愛知県は、土壌汚染対策法以外に、“さらに”条例で土壌汚染調査が必要なときがあるって聞いたんですけど・・・
そうなんです。愛知県では、「県民の生活環境の保全等に関する条例」が定められていて上乗せ事項が加えられているので注意が必要です。
愛知県の条例(注意!!名古屋市は別の条例が適用されます)について、詳しく、図も交えながら説明していきます。
義務調査の土壌汚染調査について、気をつけるポイント、調査の流れや内容、期間などを詳しくまとめた無料冊子等もご参考にしていただければと思います
愛知県「県民の生活環境の保全等に関する条例」の概要
2023年3月15日に確認した情報です。
愛知県条例で定められている土壌汚染調査の契機は、主に4つあります。
注意:名古屋市内は適用されません。名古屋市内についてはこちらをご覧下さい。
- 特定有害物質取扱事業所が事業所の全部又は一部を廃止する場合
- 一定規模以上の土地の形質変更をする場合
- 自主的に調査をし、その結果を報告する場合(努力義務)
- 健康被害のおそれがあるとき、地下水汚染が認められるとき
この他に、条例では特定有害物質等の取扱事業者に、『汚染の防止義務』『取り扱い施設の点検』『土壌汚染調査の実施(努力義務)』などが定められています。
1つずつ、具体的に確認していきたいと思います。
①特定有害物質取扱事業所が事業所の全部又は一部を廃止する
愛知県「県民の生活環境の保全等に関する条例 第39条2項」
特定有害物質(26物質:こちらのページの第1種特定有害物質、第2種特定有害物質、第3種特定有害物質)を取り扱っている、もしくは取扱い履歴のある事業所で、事業所の全部または一部を廃止する場合に土壌汚染調査が必要になります。
- 特定有害物質取扱事業所とは?
①水質汚濁防止法の特定施設を設置していて、特定有害物質を使用等している事業所
注意:特定施設で特定有害物質を使っていなくても、事業所内で取扱いがあれば該当します。
②地下タンクでガソリンを貯蔵または取扱う事業場 - 平成22年9月30日以前に特定有害物質の取扱いをやめた場合は調査義務の対象外です。
- 特定施設の全部でなく、一部のみを廃止する場合も調査が必要となります。
特定有害物質を取り扱っておられる事業者様で、特定施設の届出をされている場合は900㎡の土地の改変(下の②-2)も該当しますのでご注意ください。
②-1. 3,000㎡以上の土地改変を行う場合に、地歴調査が必要です
愛知県「県民の生活環境の保全等に関する条例 第39条の2」
3,000㎡以上の土地の形質変更を行う場合に、土地の改変者に対して、その土地で、過去に有害物質を扱った工場の履歴が有るかどうか等を調べる土地履歴調査(地歴調査)が義務付けられています。
地歴調査の結果、汚染のおそれがある場合には、土壌調査(実際に土を採取して分析する調査)が義務付けられます。
3,000m2以上の土地改変の調査事例、地歴調査はこちら
②-2.有害物質使用の特定施設が設置されている工場で900㎡以上の土地改変を行う場合
こちらは、上の②-1と同じ土地改変なのですが、有害物質使用工場に限定された内容です。面積要件が狭いのでご注意ください。
愛知県「県民の生活環境の保全等に関する条例 第39条の2」
上図のように、有害物質使用特定施設がある土地で900㎡以上の土地の改変をする場合には、土地履歴調査(地歴調査)が義務付けられています。
地歴調査の結果、改変する場所に汚染のおそれがある場合には、土壌調査(実際に土を採取して分析する調査)が義務付けられます。
この条項は、H31年4月に施行された改正法に倣って新たに加えられました。
土壌汚染対策法のH31年4月の改正内容はこちらを参考になさってください
③自主的に土壌汚染調査し、土壌汚染・地下水汚染が見つかった場合
義務調査ではなく、自主的に土壌汚染調査を実施して、土壌汚染・地下水汚染が見つかった場合には、都道府県に報告するよう努めるように、と第45条で規定されています。(努力義務です。)
④人への健康被害のおそれがある時、地下水汚染が認められる地域があるとき
特定有害物質(土壌汚染対策法で定められている有害物質と同じです。)によって、土壌汚染又は地下水汚染があることが判っている場合に、健康被害のおそれがあるとき、都道府県知事は、汚染原因者であるに対して、汚染の除去等の措置を命令できます。(第41条)
内容のご不明な点やご質問については、お気軽にお問合せください。
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愛知県では、県の条例だけでなくて、市、独自の条例がさらにあるらしい・・・。続いては市の条例です。
愛知県内の市の条例
愛知県内では、環境確保条例の他に各市でも条例が制定されている自治体がありますので、注意が必要です。
名古屋市
2023年3月15日に確認した情報です。
名古屋市では、土壌汚染対策法に加えて、「市民の健康と安全を確保する環境の保全に関する条例(環境保全条例)」が定められています。
ご注意:名古屋市内では、愛知県条例は適用されません!
名古屋市「市民の健康と安全を確保する環境の保全に関する条例」
- 特定有害物質等取扱工場等の敷地において、500㎡~3000㎡未満の土地の形質変更を行なうとき。
- 特定有害物質等取扱工場等の敷地である土地が汚染されているおそれがあると市長が認めるとき
- 自主調査の結果、土壌汚染や地下水汚染が確認された場合(報告義務あり)
土壌汚染対策法では、有害物質使用特定施設の「900㎡以上の改変」や「施設の廃止」が対象ですが、名古屋市条例では、特定有害物質取扱工場で500㎡以上の土地の改変をする場合は調査が必要になります。
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ご質問や内容については、お気軽にお問い合わせください。
岡崎市
2023年3月16日に確認した情報です。
岡崎市では、土壌汚染対策法、愛知県の県民の生活環境の保全等に関する条例に加えて、「岡崎市生活環境保全条例」が定められています。
法、条例の契機に加えて、下記の建物建築の際には土壌汚染調査が必要になります。
- 有害物質使用特定施設(土壌汚染対策法の特定施設と同じ)のある工場又は事業場の敷地で、100㎡以上の建物又は工作物を除却するとき(市条例第18条)
- 有害物質使用特定施設(土壌汚染対策法の特定施設と同じ)のある工場又は事業場の敷地で、土地の一部を売却しようとするとき(借地の場合にあっては、当該土地の一部を返還しようとするとき)
ご質問や内容については、お気軽にお問い合わせください。
春日井市
2023年3月16日に確認した情報です。
春日井市では、土壌汚染対策法とは別に、土砂等の埋め立ての際の条例が定められています。
- 土砂等を搬入して行う埋立て、盛土、かさ上げ等を1,000㎡以上の面積で実施する場合には、届出が必要になります。
搬入土壌は、第1種・第2種・第3種特定有害物質の基準を満たしている必要があります。
ご質問や内容については、お気軽にお問い合わせください。
その他の区について
愛知県内のうち、以下の市区町村については、独自の条例は定められていません。土壌汚染対策法と愛知県「県民の生活環境の保全等に関する条例」に従って、調査が進められます。
2023年3月16日に確認した情報です。
一宮市
豊田市
愛知県は、土壌汚染対策法+愛知県条例、さらに!市の条例もあって。。。大変だ。ご不明点はお気軽にご相談ください。
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