

うーん、「土壌汚染」って?目に見えないから余計に不安になっちゃうこともあって。
健康にはどんな影響があるの?基準値ってどうやって決まってるの?

土壌汚染の原因や特徴、基準値や健康への影響について分かりやすく説明していきます。
土壌汚染対策法、法律のH31年4月の改正内容を詳しくお知りになりたい方は
↓↓こちらを参考になさってください。↓↓
土壌汚染の原因
土壌汚染は、有害な物質(=特定有害物質)が土壌に浸透して土壌や地下水が汚染された状態です。
- 工場などで使用中に、有害物質がこぼれたり、有害物質を含む排水が漏れたりして土の中に入った
- 有害な物質を含む廃棄物が土の中に埋められて、雨などによって周りの土に溶けだした
などの原因によって起こります。
—土壌汚染が起こる仕組み—
図にも出てきていますが、法律で定められている土壌汚染の有害物質には、3種類あります。
- 揮発性有害物質(ベンゼンなど) 12物質
- 重金属類(六価クロムやカドミニウムなど) 9物質
- PCBと農薬類(主に過去に使われていたもの) 5物質

土壌汚染対策法で定められている有害物質は全部で26物質あります。揮発性有害物質(ガソリンに含まれているベンゼンなどがイメージしやすいでしょうか)の方が広がりやすく、重金属類(カドミニウムや鉛、シアンなど)はそれより移動範囲が少ないです。
有害物質の種類について詳しくお知りになりたい方は↓↓こちら
続いて、では、実際にどうやって健康被害につながるの?基準値はどうやって決まっているの?かを見ていきたいと思います。
健康リスクの発生経路と基準値
健康リスクの発生経路
土壌汚染によって、人への健康リスクが発生する経路には主に2つあります。
人が土壌を直接摂取(土を食べたり、吸い込んだり)する
1つ目は、土を食べたり、吸い込んだりする、直接摂取です。砂場での土遊びの時などがイメージしやすいのではないでしょうか。
土壌中の有害物質が溶けている地下水を飲む
2つ目は、汚染土壌から溶け出した有害物質で汚染されている地下水を飲むことです。井戸水などを飲用に用いられているケース等が該当します。

土壌汚染で健康被害が出るのは、「土を食べたとき」と「溶け出ている地下水を飲んだとき」です。その他の食品(野菜や魚介類)を通しての摂取などは、別の法律で定められています。
基準値
土壌汚染対策法では、この2つの経路を対象に基準値がもうけられています。
含有量基準値(直接摂取)
特定有害物質を、人が土壌を直接摂取(土を食べたり、吸い込んだり)することによって、有害物質が体内に取り込まれたときに健康被害が出ない濃度が基準値です。一生涯(70年)汚染土壌のある土地に居住し、一日当たり子供(6歳以下)200mg、大人100mgを摂取するものとして基準値が設定されています。
溶出量基準値(地下水の飲用)
土壌中の特定有害物質が地下水に溶出して、その地下水を飲むことによって、体内に有害物質が体内に取り込まれたときに健康被害が出ない濃度が基準値です。一生涯(70年)汚染土壌のある土地に居住し、1日2Lの地下水を飲むものとして基準値が設定されています。
- 70年間、土を100㎎毎日摂取、1日2Lの地下水を毎日飲用したときに健康被害が生じるおそれがある濃度が基準値、と厳しい基準値が定められています。

人が一生かけて、食べ続ける、飲み続けるって、結構厳しい基準値が定められているんだね。
いかがでしたか。結構厳しい基準値だとは思われませんか?
汚染土壌がそこに在るだけは健康被害は発生しません。土壌を食べたり、地下水を飲み続けることで、健康被害のリスクが発生します。
有害物質のそれぞれの基準値はこちら↓↓
土壌汚染はもちろん、健康被害防止や環境問題のために防いでいくべき問題です。
しかし、実は、健康被害で問題になるケースよりも、土壌汚染が土地価格の低下に大きく影響して、土地売買に影響することの方が身近な問題となっているのが、土壌汚染問題の現状です。
土壌汚染調査が必要とされるケース↓↓
それは、なぜなのでしょうか?そのことと深くかかわっている土壌汚染の特徴を見ていきたいと思います。
土壌汚染の特徴と土地へのリスク
特徴1 土壌汚染は目に見えない!?
当たり前なのですが、土壌汚染は売買する土地に行ってみても分かりません。汚染されていそうにみえても、調査・分析をしてみると大丈夫な場合がありますし、大丈夫そうに見えても汚染されている場合もあります。
特徴2 土壌汚染は消えてなくなることがない!?
もう一つ、この特徴が大きいのですが、一旦、有害物質(=特定有害物質)が土に排出されると、水や空気と違ってどこかにいってしまうことはありません。土壌汚染物質は分解されにくい、移動しにくいのが特徴なのです。

例えば、30年前に工場から土へ排出された有害物質は、30年経っても消えないんだね。過去に有害物質を使用する可能性のある工場等が建っていた土地は、汚染の可能性があるということになってしまうんだね。
特徴3 浄化や除去にはコストがかかる
特徴2の通り、汚染された土地は、時間がたっても、有害物質(=特定有害物質)が消えることが無いので、完全にきれいにしようとすると、浄化や除去が必要になってきます。
しかし、それにはコストがかかります。小規模で数百万~。大規模な浄化や除去になると数千万~という費用になってしまいます。この土壌汚染の浄化コストが、土地価格に反映されてしまうのです。
- 土壌汚染対策法が出来て、基準値ができた。土壌汚染は「見えない」けれど、時間が経っても「消えない」。。。かつ浄化や除去にコストがかかる。
これが土壌汚染が土地価格の低下に大きく影響し、土地売買に影響してしまう一因になっています。

健康への影響でみれば、土を被覆して、地下水を飲まなければ人体への影響はありません。土壌汚染が正しく理解されていくことも、今後必要かと思います。
土地を売りたい時、買いたい時のリスク回避ポイントもご参考に
