こんにちは。
最近、ダイオキシン類による土壌汚染についてのお問い合わせやご相談が多くなってきているように感じます。そこで今回は「ダイオキシン類による土壌汚染の法的責任」と題しまして、ダイオキシン類による土壌汚染の考え方をご紹介いたします。(ダイオキシン類の解説についてはコチラのブログもご参照ください。)
ダイオキシン類とはPCDD(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン)、PCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)、コプラナーPCBの総称で、主な発生源はごみ焼却施設によって燃焼された物質です。ダイオキシン類は大気中に拡散され、その後地上に落ちて土壌や水を汚染し、食物連鎖を通じて蓄積されていきます。またダイオキシン類の中には、発がん性が確認されているものもあり、人体にとっては有害な物質の一つです。
1999年に埼玉県所沢市の焼却施設から多量のダイオキシン類が放出されるという問題が起きました。後に大きな社会問題となり、同年にはダイオキシン類対策特別措置法が制定されました。この法律はダイオキシン類による環境汚染防止を目的とし、環境への排出を規制、汚染土壌の浄化対策の実施を定めました。
ダイオキシン類対策特別措置法が成立したことを受けて、国の主導により従来のごみ焼却施設はダイオキシン類が発生しにくい施設への建て替えが進められました。しかし一方で、従来のごみ焼却施設によって排出されたダイオキシン類は地中に残ったままとなりました。
そこで同法では、ダイオキシン類による土壌汚染の責任は都道府県知事にあるとし、調査や対策にかかる費用は原則、排出の原因者に請求できるものと定められました。
土壌汚染対策法では、土壌汚染が確認された場合、原則土地の所有者や汚染の原因者が調査や対策にかかる費用を負担することと定められています。しかしダイオキシン類はダイオキシン類対策特別措置法にかかるので責任の所在も異なり、「事業者によるダイオキシン類の排出とダイオキシン類による土壌汚染との因果関係が科学的知見に基づいて明確な場合」、汚染の原因者に調査や対策にかかる費用を請求できます。
まとめると以下のようになります。
①ダイオキシン類を規制するのは「ダイオキシン類対策特別措置法」
②ダイオキシン類による土壌汚染の責任は都道府県知事にあり、条件にもよるが調査・対策費用を汚染の原因者に請求できる。
いかがでしょうか。
ダイオキシン類による土壌汚染でご心配、お悩みがあれば些細なことでも構いません。ぜひ一度ご相談ください。
酒井
【参考】
ダイオキシン類対策特別措置法
↓ダイオキシン類については以下の事例ページもご参照ください。↓
焼却施設の売買
ーーーーーーーーー2025年2月7日追記ーーーーーーーー
ダイオキシン類による土壌汚染について、追加情報です。
みなさんは、ダイオキシン類の基準値をご存知でしょうか。
土壌汚染対策法で規定されいる物質とは異なり、ダイオキシン類には環境基準というものが設定されています。土壌の場合は1,000pg-TEQ/gという数値になっています。聞いてもピンとこないですよね、、、
一般的な土壌、例えばホームセンターなんかで売られている園芸用土壌はおよそ7pg-TEQ/g含まれていたりします。
そう聞くと、「うちの庭の土にもダイオキシン類が含まれているのでは?!」と驚かれるかもしれませんが、ご安心ください。
「ダイオキシン類は毒性が強い」というイメージがありますが、それは一度に多量のダイオキシン類を摂取した場合によるものです。
では具体的にはどの程度までなら問題ないと言えるのでしょうか。
日本では、ダイオキシン類を一生涯、毎日摂取し続けても健康に悪影響が出ないとされる量(耐容一日摂取量)というものが設定されています。
なお耐容一日摂取量は4pg-TEQ/kg-体重/日です。体重1㎏あたりに4pg、つまり体重60kgの方であれば、1日に摂取するダイオキシン類が240pgまでであれば、健康被害は出ないということになります。
またこの数値は、最も感受性が高いとされる胎児期を基準に定められているので、一時的にこの数値を超えるダイオキシン類を摂取したとしても、多少であれば健康被害は出ないとされています。
先ほどご説明した通り、一般的な土壌ではダイオキシン類は7pg-TEQ/g程度含まれているとされていますが、過去に焼却炉があったり、近くに焼却施設があったりすると、場合によっては環境基準の1,000pg-TEQ/gを超えないにしても、ある程度の数値が出ることは珍しいことではありません。
過去、または現在にかけて焼却炉や焼却施設があり、ダイオキシン類による土壌汚染についてご不安な点や、ご心配なことがありましたら、ご相談だけでも構いません。ぜひ一度当社へご連絡ください。
酒井
*業務時間外は、直接担当者に繋がります。