下水に流され問題に…永遠の化学物質とも呼ばれるPFAS(PFOS・PFOA)とは?

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2024年

下水に流され問題に…永遠の化学物質とも呼ばれるPFAS(PFOS・PFOA)とは?


こんにちは。いつもブログをご覧いただきありがとうございます!
今回は、沖縄の米軍基地が下水に流して問題になり、今全国で注目されている化学物質「PFAS」について整理していきたいと思います。

PFOS

「永遠の化学物質」と呼ばれる有機フッ素化合物(総称PFAS)とは?

永遠の化学物質「PFAS(ピーファス)」とは有機フッ素化合物の総称で、4700種類以上も存在しています。その代表例が「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」です。
※化審法の第一種特定化学物質に「PFHxS(ピーエフヘキサエス)」が追加されることが、2023年11月28日に閣議決定されました。

PFOS ペルフルオロオクタンスルホン酸(PerFluoroOctaneSulfonic acid)

PFOSの正式名称は「ペルフルオロオクタンスルホン酸(PerFluoroOctaneSulfonic acid)」。1940年代に米国で開発された有機フッ素化合物の一種で、水や油をはじき、熱に強い性質があって、耐熱性、耐薬品性などで優れた安定性を持つことから、撥水(はっすい)剤や泡消火剤などに使われてきました。

しかし発がん性など健康リスクが指摘され、日本国内では原則、使用・製造禁止。国際的にも規制され、日本でも米国でもPFOSを含まない消火剤に順次交換していくことになっています。

PFOA ペルフルオロオクタン酸
(PerFluoroOctanoic Acid)

一方、「PFOA(ペルフルオロオクタン酸=PerFluoroOctanoic Acid)」も同様の性質をもつため、以前はフライパンのテフロン加工や食品包装紙の撥水加工の原料などに利用されてきました。現在国内での使用制限はありませんが、主要メーカーは自主的に使用廃止しています。

両物質とも、環境中で分解されにくく蓄積しやすい性質から「永遠の化学物質」とも呼ばれています。発がん性や胎児の低体重、成人の生殖機能への悪影響、肥満、甲状腺疾患などの健康リスクがあるとされています。動物では、胎児に影響を及ぼすことが報告されています。

 

PFHxS ペルフルオロヘキサンスルホン酸
(Perfluorohexanesulfonicacid)

PFHxSはPFOS及びPFOA同様、自然環境中では極めて分解されにくく、高い蓄積性を有するなどの特徴がある。

PFHxS の主な用途は泡消火薬剤、金属めっき、織物、革製品及び室内装飾品、研磨剤及び洗浄剤、コーティング、含浸/補強材(湿気、真菌などからの保護用)、電子機器及び半導体の製造等です。PFHxS の用途はPFOS 及び PFOA の用途と類似しているため、PFHxS はこれらの代替品として使用されました。

化審法の第一種特定化学物質に「PFHxS(ピーエフヘキサエス)」が追加されることが、2023年11月28日に閣議決定され、2024年2月1日に施行されました。

「第一種特定化学物質が使用されている場合に輸入することができない製品の指定」と「第一種特定化学物質が使用されている場合に取扱い等に係る基準に従わなければならない製品の指定」は、2024年6月1日に施行予定です。

主な使用用途

おもな使用例

  • 日用品
    カーペット・紙・織物の保護コーティング剤、フライパンなどのフッ素樹脂(テフロン)製造時の必要加工補助剤、はっ水スプレー、化粧品、シャンプー、ワックス類、塗料、界面活性剤など
  • 工業製品
    泡消火剤、はっ水・はつ油剤、航空機用作動油など

有機フッ素化合物 → なにが問題なの?

・分解されにくく、生き物の体や水や土に長く残ってしまう。
・人体への悪影響や野生生物の体への蓄積など地球規模での汚染が明らかになり、PFOSとPFOAは、国連の条約会議で、作ったり使ったりすることが原則禁止されました。
・ただ過去の汚染に加え、使われないで残ったり、事故などで流出したりしている。
・PFASが一番問題なのは、やはり健康への影響で、一度体内に取り込まれれば体内に長く残ってしまう。国立がん研究機関はPFOAを「発がんの可能性がある物質」に分類しています。

有機フッ素と無機フッ素は無関係!

前述では、有機フッ素化合物について述べましたが、ここでは、無機フッ素について紹介します。

・虫歯予防などで使用されるフッ素ですが、このフッ素は無機で、無機フッ素イオンと言います。
・たとえば、同じ塩素でも塩素ガスや食塩、塩酸、塩化ビニールなどがある
ように、同一のものではありません。

・結論としては、水質汚染の有機フッ素化合物とフッ化物洗口やフッ化物洗口の無機フッ素イオンとは無関係です。虫歯予防のためにフッ化物洗口やフッ素塗布を行ってもなんら問題はありません。

・1970年代にロチェスター大学医科歯科学部のドナルド・タブス博士は、彼自身の血液サンプルの精密検査の結果、血中のフッ化物のあるものは有機であり、歯科衛生の目的で公共水道水中に加えられるフッ化物のタイプとは無関係であることを報告しています。

参考文献 http://www.kyoku-shi.com/pdf/tayori/m27.pdf

国内での安全基準

日本では、PFOSと先述のPFOAを合わせて「1リットルあたり50ナノグラム(ナノは10億分の1)以下」という目安が、水道水と河川や地下水について2020年4月につくられました。

1リットルあたり PFOS PFOA
日 本 計 50 ナノグラム
米 国 現 行
検討中
計 70 ナノグラム
4 ナノグラム 4 ナノグラム
ドイツ 100ナノグラム 100ナノグラム
20種のPFASの合計とPFCAで100ナノグラム
(2026年~)
4種のPFASと
WHO
検討中
総PFASは500 ng/L
※暫定ガイドライン値(2022年)
100 ナノグラム
※暫定
100 ナノグラム
※暫定

 ▲2024年2月時点での情報

PFOS・PFOAをめぐる動き

〇1940年代…PFOSが米国で人工的につくられる。その後、防水スプレーやフライパンの加工など幅広く使われる。

〇2000年代…米国での動物実験などで発がん性が疑われはじめる。

〇2009年…国連のストックホルム条約会議でPFOSが規制対象に

〇2010年…日本で製造・輸入・使用が原則禁止に

〇2016年…米軍嘉手納基地周辺の川から高濃度で検出と沖縄県が発表

〇2020.4…厚労省が水道水の水質について、PFOSなどの暫定目標値(水質管理の目安)を「1リットルあたり50ナノグラム(ナノは10億分の1)以下」に設定
米軍普天間飛行場からPFOSを含む泡消火剤約14万3000リットルが基地の外に流出

米軍普天間飛行場から流出し、比屋良川から回収された大量の泡消火剤。琉球新報デジタル2021.4.8より

〇2020.5…環境省が河川や地下水などの暫定目標値も、水道水と同水準に決定

〇2021.6…沖縄県うるま市の米軍基地でPFOSを含む水最大約2400リットルが基地外に流出

〇2021.8…米軍が普天間飛行場からPFOSを含む水約6万4000リットルを放出

<参考>環境省HP

有機フッ素化合物 → 実際どのような被害が出てるの?

米国

・2001年、米バージニア州の化学工場周辺で、住民に下血や腎臓がんなどの症状が相次ぎ、住民ら約3500人がメーカーを提訴。約7万人を対象にした調査では、PFOAの平均血中濃度が米国人平均の数倍になるなどした。健康被害を訴える住民と2017年に和解して、6億7070万ドル(約863億円)が支払われました。

・米国内での汚染が社会問題になっていることを受け、バイデン政権では、2016年にPFOSを0.02ナノグラム、PFOAを0.004ナノグラムに大幅に強化する暫定勧告を示しています(現行は各70ナノグラム)。

日本国内

日本国内で深刻なのは米軍基地周辺です。主な汚染の原因は基地内で使用する泡消火剤の漏出と思われます。

上空からみた米軍横田基地

2016年1月

沖縄県ではいち早くPFASの調査が行われ、2016年1月に河川や浄水場の本格的な調査の結果を発表。約44万人の水道水を供給する浄水場で、1リットルあたり最大80ナノグラム、平均30ナノグラムのPFOSが検出されました。
・水源の近くには米軍嘉手納基地(嘉手納町など)が広がり、基地内を通って流れ出る河川で1000ナノグラムを超えた地点もあった。その後も嘉手納基地周辺で、多数の調査が行われています。
・米軍基地は日米地位協定により管理権は米側にあると県の調査のための立ち入りなどを拒んでいる。

2021年11月

・地元沖縄テレビでは、2021年11月10日の放送で、普天間基地近辺にある、国指定有形文化財にもなっている湧き水、喜友名泉(チュンナーガー)のPFOS汚染について放送しています。

喜友名泉(チュンナーガー)は、地元住民が琉球王朝時代から神聖な湧き水として大事にされ、家庭菜園用の水や飲料水にも使用されている。その湧き水について昨年の夏、県が調査した結果によると、国の暫定指針値の約32倍、1600ng/LのPEOSが検出された。これは土壌にしみ込んだ水が地下水を汚染しているとみられている。

出典:沖縄テレビ放送時のユーチューブ動画より

また番組では、喜友名泉の水質を検査したところ、喜友名泉の水においてかなりの高濃度の基準の汚染が検出したと放送している。番組の中で、京都大学の原田准教授は、現在、国内での地下水からの汚染についての基準がないため、対策が遅れることが危惧されている。右写真の図中にある米環境保護庁の基準値を参考にするなど法整備が望まれると指摘されました。

沖縄放送で紹介された原田准教授の図

2022年

・沖縄県普天間飛行場周辺区域におけるPFOS・PFOAの汚水放出問題について、土壌分析結果が報告されました。PFOSが最大1.1ng/g、PFOAが最大0.7ng/g検出されたとのことで、米国基準ではPFOSが38ng/kg、PFOAが920ng/kgと定められていることから、換算するとPFOSについては29倍近い基準値超過になっているようです。

・東京都多摩地域で22年に調査した結果をみると、PFOSとPFOAが血液1ミリリットル中に含まれる量は、全国平均の約3.7倍にあたる。多摩の地下水の上流域には米軍横田基地(東京都福生市など)があり、汚染源が同基地である可能性を示唆しています。
※日本在住の英国人ジャーナリストが入手した米軍の公開文書には、12年に同基地内で推定800ガロン(約3000リットル)の泡消火剤が漏出した記録があった

・一方、WHO(世界保健機関)は2022年、飲料水の水質ガイドラインの暫定値を1リットルあたり各100ナノグラムとする案を公表しています。

有機フッ素化合物の専門家の見解、「本格調査を」京大大学院 原田浩二准教授

・PFASは1990年代に環境汚染などの問題が認識され始め、国際条約で規制が強まり、今では日本でも製造や輸入が禁止された。
・ただ、水道水や血中の濃度がどの程度までなら健康へのリスクは十分低いといえるのかの線引きはまだ定まっておらず、国によってもまちまちだ。
・日本の行政は欧米に比べ、ほとんど手つかずのままここまで来ている。
・汚染源からの広がり方やその期間、汚染の度合いもよくわかっていない。本格的な調査が求められる。

(『朝日新聞・大阪』2023.1.31の記事より)

PFOSやPFOAへの関心が高まってきていますが、本格的な調査が進んでいくことを望むばかりです。当社では、土壌地下水汚染調査に加えて、ダイオキシン調査・PCB調査等様々な調査に対応しております。お気軽にご相談ください。


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